ピッケルリレー登山、1班は中房温泉から燕岳、大天井岳を経て槍ヶ岳で2班へピッケル渡し、2班は上高地から槍沢を経て槍ヶ岳でピッケルを受け、大キレット、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳を縦走し上高地へ下るというものだ。そして我々3班のパーティは上高地から岳沢経由で奥穂を目指し、途中でピッケルをバトンされ翌日は西穂高岳への縦走を経て上高地へ下る2泊3日の周回コースだ。特に奥穂、西穂間は、ロープを必要としないルートの中では日本で一番むずかしいとされるコースである。
日時 2014.7.27(日)〜29(火)
過去の穂高岳の記事はこちら☟
涸沢岳 http://d.hatena.ne.jp/wsbkm777/20140513/1399975058
丸山(西穂高) http://d.hatena.ne.jp/wsbkm777/20130311/1362994193
前穂高岳(奥明神沢)http://d.hatena.ne.jp/wsbkm777/20110516/1305538418
7月27日(日) 雷雨のち晴れ
本庄(3:30)〜松本IC〜(6:45)沢渡第2駐車場(7:05)〜タクシー〜(7:25)上高地バスターミナル・河童橋(7:45)・・・穂高・岳沢登山口(8:00)・・・風穴(8:45)・・・(10:30)岳沢小屋(11:30)・・・カモシカの立場(12:30)・・・紀美子平(14:30)・・・最低コルの分岐[?班と出会う](15:00)・・・南稜の頭(16:30)・・・(16:40)奥穂高岳(16:50)・・・(17:25)奥穂高山荘[泊]
歩行時間 7時間45分
獲得高度差 1700m
今日の岳沢。予報では晴れベースとなっているのだが空はどんよりしている。 7:45
岳沢名物だそうな、知らなかった。涼しい風が吹き出しているから確かにここは風穴。 8:40
予想外に降り出した雨は本降りなり、雷まで鳴る始末。雨具を付けるほどの雨に見舞われるとは全くの想定外であった。
この小屋の先で岳沢を渡るのだが増水で渡渉が不可能。コーヒー、ココアなどを飲みながら行く末を案じることにした。1時間もつぶしていると、視察に行った大島リーダーから水が引いて渡れるとの情報が入る。
水が引いた岳沢。前方の3人は対岸からこちら小屋側へ渡ろうとしている登山者。 11:30
天気は急速に回復、気持ちのいい青空が広がってきた。
中央のコルが3年前の春合宿で登った奥明神沢を詰めた最低鞍部だ。右半分は明神岳、左は前穂へ続く稜線である。 14:15
紀美子平からの奥穂高岳と涸沢岳。涸沢岳の右にはうっすらと槍ヶ岳がのぞいている。 14:35
奥穂からの吊尾根を駆け降りてくる岡田、政の2班組。 14:55
2班から3班へのバトンは最低コルの分岐でのピッケル渡しとなった。 15:05
前穂高岳と明神岳。吊尾根のトラバース道で出発の準備をする2班組も見えている。 15:15
南稜の頭から涸沢を俯瞰。今年は残雪が豊富らしい。右奥のピラミッドは常念岳。 15:30
今日の高山植物
アオノツガザクラ(青の栂桜)−ツツジ科
花の直径は1センチにも満たない小さなものだが、カーペット状に群落をつくるので岩礫地では目立つ存在である。
ツガザクラ(栂桜)−ツツジ科
岩の割れ目を利用しての「ど根性ツガザクラ」。
ハクサンイチゲ(白山一華)−キンポウゲ科
高山植物の代表格のひとつ。
7月28日(月) 快晴のち霧
起床(4:00) 奥穂高山荘(4:40)・・・(5:30)奥穂高岳(5:50)・・・馬の背(6:10)・・・(7:20)ジャンダルム(7:50)・・・(9:10)天狗のコル(9:20)・・・(10:00)天狗の頭[現地標識は天狗岩山頂](10:10)・・・間の岳[2907m](11:10)・・・P1(12:30)・・・(14:40)西穂高岳(13:05)・・・ピラミッドピーク(13:55)・・・(14:30)西穂独標[2701m](14:45)・・・西穂丸山[2452m](15:10)・・・(15:25)西穂山荘[泊]
歩行時間 7時間45分
獲得高度差 630m
常念岳の肩に朝日が昇る。 4:49
奥穂をあとにいよいよジャンダルムへと出発だ。
手前から奥へ馬の背、ジャンダルム、西穂、焼岳、乗鞍岳、御岳。右の雲海の彼方には白山ものぞいている。 5:55
ジャンダルム名物? 鎖のついた狭いバンド状トラバース。鎖の終了点からは左のコルへ直登ぎみによじ登る。 6:20
笠ヶ岳をバックに。 7:30
330mを下る天狗のコルへの急降下。その先に天狗岳、間の岳、西穂高岳が連なる。 8:50
天狗の頭(現地の標識は天狗岳)山頂。 10:10
雨で濡れるとやっかいだといわれる逆層スラブ。薄い板状の岩が屋根瓦のように積み重なっている。我々はここを下った。 10:35
ここまでくればもう安心。西穂高岳山頂。 13:05
独標から下はこんな感じで西穂山荘へ導かれ、長かった今日の行動が終了した。 15:00
ミヤマシオガマ(深山塩釜)−ゴマノハグサ科
ニンジンに似た葉っぱが特徴だ。
イハウメ(岩梅)−イハウメ科
筆者の大好きな花の一つで、図鑑にはカーペットの状に広がり群落をつくるとあるが、大きいものにはめったにお目にかかれない。
イハヒゲ(岩髭)−ツツジ科
シコタンソウ(色丹草)−ユキノシタ科
これもカーペット状に咲くのだが単独で見てもたいへん美しい。北方領土の色丹島で発見されたのでこの名がある。
タイツリオウギ(鯛吊黄耆)−マメ科
枝からぶら下がる太った実が、釣り上げられた鯛に似ているそうである。
7月29日(火) 晴れ
起床(5:00) 朝食(5:30) 西穂山荘(6:25)・・・宝水(7:25)・・・(8:45)西穂登山道入口・帝国ホテル前(9:10)〜タクシー〜沢渡〜梓湖畔の湯〜道の駅風穴の里〜蕎麦処 山法師[唐沢そば集落]〜松本IC〜本庄
歩行時間 3時間30分
西穂山荘近辺の花たち
ハクサンフウロ(白山風露)−フウロソウ科
ミヤマカラマツ(深山唐松)−キンポウゲ科
ナナカマド(七竃)−バラ科
イハオトギリ(岩弟切)−オトギリソウ科
ハイオトギリ(這弟切)かもしれない。
キヌガサソウ(衣笠草)−ユリ科
直径7〜8センチ、いや10センチもあるかのような大型の花を咲かせる。日本の高山植物の中で一番大きいのではないだろうか? 咲き始めの花びらは白色、これは緑がかっていてもう姥である。
3日間の総歩行時間 19時間
3日間の総獲得高度差 2330m