白峰三山(北岳・間の岳・農鳥岳)

日時   2012.8.18(土)〜21(火)

場所   白峰三山北岳[3193m]・間の岳[3189m]・農鳥岳[3051m])−南アルプス

メンバー 設楽 貴弘 ・ 下田 信人・ 中山 克己 ・ 関 真由美 ・ 中田 裕之




8.18(土) 晴れ
本庄(20:30)〜深谷[設楽・中山・関](21:20)〜川本[下田](22:00)〜嵐山小川IC〜(23:10)談合坂SA(23:20)〜甲府南IC(23:55)〜身延〜奈良田[第一駐車場](25:40)









8.19(日) 快晴のち霧
奈良田バス待合所[奈良田第1駐車場](5:30)⇒路線バス⇒(6:20)広河原(6:40))・・・白根御池分岐(7:10)・・・(9:15)大樺沢二俣(9:30)・・・(10:30)バットレス二俣(10:50)・・・(11:50)八本歯のコル(13:10)・・・(14:00)池山吊尾根分岐(14:40)・・・(15:00)北岳【3193m】(15:30)・・・池山吊尾根分岐(15:40)・・・北岳山荘(16:30)【泊】 


歩行時間  6時間40分

獲得高度差 1700m







 奈良田バス待合所。バスは中型が2台用意されていて、1台目はここでほぼ満杯。第2駐車場で2台目に3分の1ほどか?  5:15







 広河原から大樺(おおかんば)沢の雪渓と北岳。雪渓上部の最低鞍部が八本歯のコル。 6:40





 二俣まではおおむね樹林内の左岸を行く。一部崩壊地があり右岸を高巻くが、かえって見通しが利くので苦ではない。山頂付近には早くも雲が湧き始める。 7:40




    
ヤマハナシノブ(深山花忍)−ハナシノブ科 大樺沢二俣
 北アルプスの白馬岳と南アルプス北岳にのみ特産すると図鑑では説明されているが、筆者はここ大樺沢二俣以外では見かけたことがない。繊細で高山植物というよりは、園芸品の風情がある。





 八本歯のコルへ大樺沢最後の詰め。 



 同じ場所から下を見下ろす。 10:20





    
タカネビランジ(高嶺びらんじ)−ナデシコ科 八本歯のコル
 南アルプスの岩場に特産する。白色から濃いピンクまで色変化が多彩で、園芸植物のような華やかさである。写真は桜色だが手のとどかない岩場には濃いめの株が咲いていた。 
 ビランジの意味は不明で、また当てはまる漢字も見当たらない。






 コルより八本歯の頭(2920m)。 12:00 




 設楽のペースが上がらない。片足にガングリオンを抱え、両足のかかとの皮をベロンとはがしてしまっているのだ。しかも山岳博物館に展示されているような、堅い革の本格的な重登山靴を履いている。
 関から厚手の綿布とばんそうこうを譲り受け何とか凌いでいるようだ。





コルから池山吊尾根経由で北岳を目指す。 13:10




    
シコタンソウ(色丹草)−ユキノシタ科 池山吊尾根分岐付近
 岩の割れ目などにしがみつくように生え、ときに大きな群落をつくる。高さは5センチで花の径は1センチ。黄と紅の斑点模様が美しい。千島列島の色丹島で発見されたのが名の由来。 





チシマギキョウ(千島桔梗)−キキョウ科 池山吊尾根分岐付近 
 高山植物の代表格の一つで、こちらも千島列島が名の由来である。





イワヒバリ(岩雲雀) 
 スズメに色合いが似ているので別名をダケスズメ(岳雀)というが、鳴き声は比べものにならないくらい美しいので、やはりイワヒバリと呼びたい野鳥である。高山へ登ればどこにでもいるが、こんな間近で見られたのは初めてだ。 14:50





 北岳の標高を3192.4mと暗記し、そらで言えることを自慢してきたが、近年のガイドマップでは3193mで定着している。ここ北岳での三等三角点表示は「3192m・白根岳」となっているが、実際は数メートル南によった岩がそこより1m高い。 15:00〜15:30







 北岳山荘から雲の切れかかった北岳望む。 17:30



 体調不良の設楽が明日は一人で下ると言い出した。ゆっくり下って白根お池で泊るという。痛みが相当あるのだろう。それも一つの方向性だなと、今日のところはそう結論して明日を待つことにした。






8.20(月) 快晴のち霧
起床 3:40 北岳山荘(5:20)・・・(6:10)中白峰【3055m】(6:20)・・・(7:20)間の岳【3189m】(8:00)・・・(9:20)農鳥小屋(9:30)・・・(10:20)西農鳥岳【3051m】(10:30)・・・(11:20)農鳥岳【3026m】(13:00)・・・(13:35)大門沢下降点(14:05)・・・大門沢出合(16:00)・・・(16:35)水場(16:50)・・・大門沢小屋(17:10)【泊】 


歩行時間  9時間

獲得高度差 700m




 おとといはほとんど徹夜だったので、昨夜はみなよく眠れたようだ。山ではいつも興奮状態で眠りの浅い筆者も、一度も目覚めることなく熟睡できた。






 日の出前の富士山。 4:52





 池山吊尾根ボーコン沢の頭から登る朝陽
 


 と、赤富士。 5:04
 




 富士山と中白峰。 5:10





 「やっぱり一緒に行かない!?」と声をかけたのは誰だったのか憶えてはいないが、まさにこの時この場所で急転直下、設楽の腹は据わったのだろう。快晴の青空を背に、真っ赤に染まる朝焼けの山を見て、先へ進まない手はない。まだ3000m峰が4つも待っているのだから。
 これから向かう中白峰を背に。中山、関、設楽、中田、下田 5:25







 中白峰山頂。遠方から手前へ、八ヶ岳連峰、鋸岳、甲斐駒ケ岳、アサヨ峰、北岳。 6:10





 北西からの富士山は双耳峰になることを知った。



 日本第4位の高峰、間の岳。 6:15


 

 中白峰、間の岳の中間付近から真北を望む。 6:45




 中白峰までは好調だった設楽の足がズルズルと遅れるようになってきた。今さら戻る気はないようだがまだ先は長い。





 デコボコした山頂を持つ間の岳。視界が悪いときは要注意とどのガイドにも書かれているが、霧や雨のときは360度似たり寄ったりで、確かに迷う可能性大である。 7:20〜8:00






 間の岳の山頂から360度の山岳展望。 
 




 農鳥岳(左)と西農鳥岳(右)。背後は笊ヶ岳方面か。鞍部には農鳥小屋が建つ。 8:10




 2813mの最低鞍部を過ぎ、農鳥小屋へはわずかに登り返す。





 隊列を組んで登るのは明治高校山岳部の面々。今朝北岳山荘を発ち、もう目の前の農鳥小屋にテントを張ったあとは、大井川源頭へ行ってくるそうだ。
 紅一点は鳩山市の3年生で、ついに3年間他の女子を迎えることがなかったそうである。





 農鳥小屋を出てすぐに間の岳を振り返る。中央の小ピークが三峰(みぶ)岳[2999m]で、その左下の岩礫地帯が大井川源頭と思われる。 9:35  








 西農鳥岳から農鳥岳(左のギザギザ)。



 同所から間の岳。左の肩に甲斐駒ケ岳、右の肩に北岳がのっている。 10:35

 



 農鳥岳へのトラバース道からの西農鳥岳
 西農鳥岳は東西3つの小岩峰から成り立っているようだが、どこが最高点か判然としない。 11:10





 ここで後続を待ちながらの大休止。 11:20〜13:00




 設楽も靴ずれの痛みだけで体力的には問題ないようだ。ゆっくりと時間をかけて歩けば何とかなるだろう。





 稜線は2946m峰に続いているが、道は左の大門沢下降点(左端)へと誘なってくれる。 13:10





 大門沢下降点の黄色い鉄塔(高さ3.5m)と鐘。
 この目印がなければ濃霧の時や夜間などは道を見失うことだろう。遭難者の遺族が自費を投じたのだろうか。ありがたい存在である。 13:35〜14:05




 下降点から大門沢出合まで2時間。ただしここでは水は飲めない。





 さらに30分下ったこの南沢?でやっと冷たい水に手を浸すことができた。もちろんジャブジャブと顔を洗う。 16:34〜50





 大門沢小屋。
 先行した下田と関は宿泊の手続きを済ませ、丸太ベンチでもうビールを飲んでいた。荷物の整理もそこそこに合流する。この一瞬のためにさっきの水場でも、うがいだけで我慢してきたのだ! 
 さらに20分遅れて設楽と中山が到着。本来は5時からの夕食を遅らせてもらったので、みんな一緒に食事をすることができた。





 HPで知ってはいたが、この小屋は富士山の好展望台である。 18:23







8.21(火) 快晴
起床 4:00 大門沢小屋(5:15)・・・八丁坂・・・小コモリ沢吊橋(7:25)・・・早川水系発電所取水口(7:35)・・・吊橋(7:40)・・・森山橋(7:55)・・・広河内庵(8:00)・・・(8:25)奈良田第一発電所(8:33)⇒路線バス⇒奈良田バス待合所(8:38)〜奈良田第一発電所〜(9:05)奈良田の里温泉(10:15)〜富士川町【昼食】[おかめ鮨]〜甲府南IC〜談合坂SA〜嵐山小川IC(16:50)〜川本〜深谷〜本庄


歩行時間  3時間

獲得高度差 50m







 朝焼けを背にシルエット富士。 5:06




 丸太橋で大門沢を渡ること2,3回。沢音が聞こえなくなり、しばし林間の緩やかな道にホッとするのもつかの間、奈落の底へ落ちていくかのような八丁坂の急坂が待っていた。
 もう惰性だけで歩くようになったころ、広河内と名を変えた沢の前方に人工物が見えた時は、なんと気が軽くなったことか。





 最初に現れた小コモリ沢の吊橋。 7:25





 2本目の吊橋。 7:40




    
 砂防ダムを左に見てこの森山橋を渡れば、わずかに右に下りた所で登山道は終わっていた。 8:00





 さらに車道を30分で





バス停のある奈良田第一発電所に着いたのだ。
左は広河原へと向かうトンネル、右は発電所へ続いている。 8:25 





 奈良田の里温泉の看板。肌がツルッツルになる湯で、身体の石鹸が洗い流されたのかどうかがわからなくなるほどだ。 9:20