杖突峠
南アルプスの鋸岳へ登るため戸台へ向かう。その途中でこの峠へ立ち寄った。
日時 2016.5.4(水)〜6(金)
場所 鋸岳(南アルプス)2685m
メンバー 設楽・中田
今から22年前の夏、仙丈と駒に登るため仙流荘から北沢峠へのバスに乗った。その車窓から見上げた鋸岳に「鹿の窓」という風穴があることを知り、いつかは行ってみたいと思っていた。
昨年のGW、駒を登りにやはりバスに乗ったのだが、この時期はまだ途中の歌宿までしか開通しておらず、歩きながらじっくりと鋸岳を眺めることとなった。見れば見るほど威圧的ながら細々とルートはあるようだし、雪もまったく付いていない。「鹿の窓」穴もはっきりと望める。
よし! 来年のGWの好天を狙ってのアタックを同行の設楽氏と誓ったのである。
鋸岳の核心部(第1高点・第2高点)
鹿の窓(中央コルの右下) −去年の写真から
5/4(水) 快晴
本庄(7:00)〜佐久南IC〜杖突峠〜高遠城址公園〜華留運[昼食]〜(12:45)戸台川原駐車場(13:10)戸台第2砂防ダム[渡渉](14:20)〜戸台川第1床固(14:50)・・・角兵衛沢出合(15:30)【テント泊】
歩行時間 2時間20分
GWのさなか、2台や3台の先客があると予想していたが・・・。他に駐車はなし。 13:10
2つ目の堰堤、戸台第2砂防ダムは2連式でこれは水門施設のある下段の堰堤。駒ケ岳がよく見える。 14:00
上段の堰堤のすぐ上で渡渉となる。あちこち飛び石伝いのできそうな場所を探したが見つからず、靴を脱いでここを渡った。背景は駒ヶ岳、駒津峰、双児山。 14:20
3つ目の堰堤、戸台川第1床固。 14:50
鋸岳の第二尾根(手前)と第三尾根(中央)。左端の岩山が鋸岳の第1高点。 15:10
角兵衛沢出合。
中央の第二尾根をはさんで、左が角兵衛沢で右が熊穴沢。右端に駒ヶ岳がのぞいている。
アップの写真。中央のコルが角兵衛沢の源頭部で、右の丸山の中腹に第1高点がのぞいている。 15:30
ザックを下ろし軽く休憩したあと対岸の様子を偵察に行く。川はふた筋に分かれていて、手前の流れには丸太を渡しクリアしたが、奥の流れは手強い。流木利用を試したがこれが重いし長さが足りず流されてしまい敢えなく失敗。明日は渡渉からスタートしなければならないが最良の地点を確認して偵察を終えた。
道の真ん中に堂々とテントを張り(下が平らで柔らかいし人はまず通らない)、食事をすませ床についたが轟々という川の騒音でほとんど眠ることはできなかった。
5/5(木) 快晴 風やや強
角兵衛沢出合[渡渉](5:20)・・・大岩下(7:30)・・・ゴリラ岩(9:10)・・・角兵衛沢のコル(9:50)・・・(10:20)鋸岳[第1高点](10:50)・・・小ギャップ(11:10)・・・(11:15)鹿の窓クサリ通過(11:40)・・・(11:45)大ギャップ(12:30)・・・(13:10)第2高点[2675m](13:35)・・・中の川乗越(14:00)・・・(16:45)熊穴沢出合(17:40)・・・角兵衛沢出合(17:55)【テント泊】
歩行時間 9時間30分
角兵衛沢出合の渡渉地点。 5:30
登山口の目印、右岸に建つケルン。 5:35
なんの展望もない樹林の中をピンク色のテープをたよりにひたすら登る。テープはあったりなかったり、道は踏みあと程度ながら慎重を期せばトラブルなく登れる。
突然目の前に現れた大岩(左岸)。途切れながらも稜線まで続いていて、ここから上はザレ場ガレ場の連続。 7:30
グズグズのザレ場(下を見下ろす)。 8:10
三歩進むうち確実に一歩は下がる。ダケカンバやマツの灌木がある所では幹や枝を頼りに手が使えて助かるが、踏みあとのないガレでは自分なりに崩れにくそうな場所を見つけてひたすら登るしかない(コルを見上げる)。 8:45
左の岩壁に特異な形の岩峰が現れた。キングコングみたいなのでゴリラ岩と名付けた。 9:00
コルまでもうひと踏ん張り(残雪の仙丈ヶ岳)。 9:30
ようやくたどり着いたコルから角兵衛沢源頭部。 10:00
鋸岳(第1高点)から
第2高点(中央右)。すぐそこなのに2時間もかかるのだ。
10:20〜10:50
小ギャップの第1高点側を10メートルの鎖で下る。 11:10
ギャップの北面にはわずかに雪の塊が残っていて、八ヶ岳が望めた。
小ギャップの第2高点側を登りつめた(鎖15メートル)ナイフリッジから第1高点を仰ぐ。山頂に4人の姿が見えた。
同じ場所から鹿の窓への巻道。正面の岩峰基部を左へ回り込んだ所に鹿の窓の風穴がある。
11:15
「鹿の窓」から長野県側をのぞき見る。
念願だった場所へとうとうたどり着いたのに何故か早々と通過してしまった。決して落ち着けるところではないがもっと展望を楽しんでおけばよかったと今は後悔している。 11:20
鹿窓ルンゼへ鎖で急降下。 11:30
鹿の窓からの鎖場、ガイドブックなどでは20メートルとあるがとんでもない。50メートルくらいはあるように感じた。それも振られやすい一本鎖である。それと落石要注意とあるが、ここは落とさずに通過することは不可能である。ヘルメット必携、落石があることを前提に登り下りすべきであろう。 11:30
大ギャップへ下るトラバースバンドで痛恨のミス。本来は、第3高点からの尾根の突端を水平トラバースし、途中から大ギャップ末端の岩くず帯へ下りるべきだったのに、そのまま水平移動し大ギャップを登り詰めてしまったのである。
左の第3高点側にしっかりしたロープが垂れ下がっていたので間違えて大ギャップを登ってしまう。あとで思えばこれは第3高点を直接狙うロッククライマーのものだったのだろう。 12:00
登りついたコルの第2高点側(右)にも、踏み跡のある残雪の上部にフィックス用のスリングが架けられていて、設楽氏が偵察にいったがルートは見つけられなった。これもクライマー用のものであるから、一般ルートであるはずはなかったのであるが・・・。
雪の詰まった山梨県側のギャップを見下ろす。下のほうにはなんとなくルートがあるようにも見えて・・・?
もし突っ込んでしまったら生きて帰れなかったかもしれない。
12:15
しばし逡巡ののち改めてルート図を出して見る。なんと! 大ギャップは登らない・・・、渡る。
岩くずだらけのガラガラ沢を砂利セード(初めて経験した)で一気に下る。下り着くと左手に細々とした踏み跡を見つけられた。
第2高点への斜面から鹿の窓の鎖場。 13:00
残雪で道が消え右往左往するもくそ頑張りで第2高点へ立つことができた。
第2高点
鉄剣の建つの山頂。
第1高点と第3高点(手前)。
13:10〜13:30
駒ケ岳と熊穴沢の頭。 13:40
中ノ川乗越へのガラガラ沢。砂利セードも交えて下った。 13:50
中ノ川乗越から広大なガラガラの熊穴沢を下る(中腹からコルを見返す)。 14:20
熊穴沢北岸の岩壁。 14:40
樹林帯に入ると苔むした林床が美しい。角兵衛沢と違ってとても明るい。
第3高点から正味3時間で戸台川に下り立つ。 16:50
飛び石伝いでは渡れそうな場所はないのでここもまた渡渉である。ちょっと深そうなので念のため腰縄を結びズボンも脱いで渡った。 17:10
慣れない渡渉で少々手間取ったが、渡り終えた左岸から熊穴沢のコルが見えた(中央)。 17:40
ヘッドライトの世話にはならず6時前にテント場に到着。長ーい一日が終わった。
5/6(金)曇り
角兵衛沢出合(8:25)・・・戸台川第1床固(9:10)・・・(9:25)戸台第2砂防ダム[渡渉](9:35)・・・(10:30)戸台川原駐車場〜仙流荘[温泉入浴]〜高遠そば ますや〜佐久中左都IC〜本庄(16:00)
歩行時間 1時間50分
3日間総歩行時間 13時間40分
総獲得高度差 1800m