日本三霊峰・白山(松本城・高山・白川郷・白山・魚津・親不知)

日時   2013.8.18(日)〜20(火)

場所   松本城・高山・白川郷・白山[2702.2m]・魚津・親不知

メンバー 設楽 貴弘 ・ 下田 信人 ・ 中田 裕之




8.18(日) 晴れ

本庄〜更埴JCT梓川IC〜松本城(見学)〜安房トンネル〜高山(散策)〜飛騨清見IC〜飛騨白川IC〜白川郷(散策)〜白山スーパー林道〜白峰温泉(夕食・入浴)〜白山温泉[一ノ瀬]【テント泊】



 今日は白山登山口まで行くだけなので途中ゆっくり観光を楽しむことにした。最初の選択肢は富山県周りにするか長野県を経由するかということ。距離は長いが時間短縮できる北陸周りか、多少距離は短いが若干時間のかかる信州周りを選ぶか。
 今日は時間がたっぷりあることなので信州経由に決し、更埴から長野自動車道へ入り、まずは松本城を見学することにした。


国宝 松本城


 背景にうっすら常念岳が見える。
 



 5重6階の最上階、天井梁に祀られている奉鎮祭二十六夜神。




 重厚な黒い板張りの壁の色から、別名烏城とも呼ばれる。






 安房峠を旧道で越えようとしたが知らぬ間にトンネルへ入ってしまった。あとで調べたが手前を右に曲がる道があったらしい。
 158号沿いで下田と中田は蕎麦を、設楽はラーメンを食ったが、どちらも混雑していた。






高山 三町伝統的建造物保存地区
 お盆は過ぎたものの日曜日なので結構な混み具合。




 産婦人科医院も時代がかっていて赤ひげ先生が現れそうだ。




 高山には8軒の蔵元があるそうだが、ここの生酒(名称は忘れた。720mL・2500円)は美味そうだったな。






世界文化遺産 白川郷荻町合掌集落
 八幡神社わきのに車を止め、内部公開している神田家を見学した。




 玄関を入るとすぐに囲炉裏のある大広間。




 屋根の骨組。東京スカイツリーはこの構造を模しているそうだ。

  





 北の高台にある展望台から荻町集落の眺め。屋根の茅の乾燥を促すため、南と北に窓を開け風通しをよくしているのだそうだ。






 白山スーパー林道は普通車片道2500円(通常は3150円)、33.3Kmの有料道路。一度は走ってみたかった道である。滝や展望台など随所に見どころがあるようだが、使用可能時間が午後6時までとなっていてゆっくり見ることができなかった。





 
 食事できそうな店がまったくなく心配していたが、白峰温泉で食堂を発見。中田と設楽はビールを飲ませてもらいほっと一息。ちょっと堅めの豆腐が美味かった。食堂でおしえてもらった展望温泉(月明りで白山がぼんやり見えた)で汗を流して一路登山口の一ノ瀬へと向かった。






8.19(月) 曇り時々晴れ

起床(4:00) 白山温泉[一ノ瀬]〜別当出合P(5:40)・・・中飯場(6:50)・・・(7:25)別当覗き(7:35)・・・(8:20)甚之助小屋(8:55)・・・(9:15)南竜道分岐(9:25)・・・エコーライン分岐(9:40)・・・南竜ヶ馬場(9:50)・・・(10:45)アルプス展望台(11:10)・・・平瀬道分岐(11:35)・・・(11:50)室堂平・弥陀ヶ原(13:05)・・・高天原(13:25)・・・(13:40)御前峰[2702.2m](14:10)・・・紺屋ヶ池(14:30)・・・剣ヶ峰[2677m](14:45)・・・紺屋ヶ池(14:55)・・・翆ヶ池(15:10)・・・血ノ池(15:20)・・・千蛇ヶ池(15:30)・・・室堂平(16:00)【泊】一泊夕食付き 6700円


歩行時間  5時間50分
獲得高度差 1550m








 事前の調べでは一ノ瀬から先はマイカー規制でシャトルバスへの乗り換えとの情報だったが、始発時刻の5時を過ぎてもバス停に人気がない。道路わきの立て看板を見るともう規制解除になっていた。そのまま別当出合まで車を走らせ、バス停下の大駐車場に車を止めた。





 別当谷を渡る吊り橋。 5:50





 甚之助谷の砂防工事風景と不動滝。 7:00





 別当覗きから別当谷の対岸。実際には樹木が邪魔をして谷底は覗けない。 7:30





 甚之助避難小屋の下にある円周5、6メートルの小池。サンショウウオの子供が浮き沈みを繰り返していた。 8:10





 甚之助小屋からガラガラの甚之助谷の崩壊部。右の山は別山(2399.4m)。 8:45




南竜分岐から。

 右下に甚之助小屋。 9:15



 
ここまでで見られた花。

センジュガンピ(千手岩菲)−ナデシコ
 日光の中禅寺湖畔、千手ヶ浜で発見され中国原産の岩菲(よくわからない)に似ていることから付いた名だそうである。




オニシモツケ(鬼下野)−バラ科




エゾシオガマ蝦夷塩釜)−ゴマノハグサ科




ヤグルマソウ(矢車草)−ユキノシタ
 葉の形が鯉のぼりの竿の先に付いている矢車に似ているから。高さが1.5メートルにもなるのにユキノシタの仲間とは・・・。



 

オタカラコウ(雄宝香)−キク科
 雄があれば雌(メタカラコウ)もある。花の付きが雌は寂しい。




タカネニガナ(高嶺苦菜)−キク科




シモツケソウ(下野草)−バラ科





 南竜分岐で2人と別れ中田は南竜ヶ馬場を経て展望歩道を行くことにした。期待はできないがアルプス展望台に立ちたいのだ。





 南竜山荘への木道。 9:50





 展望歩道から石川・岐阜の県界尾根と別山。 10:40 





 アルプス展望台からはもちろんアルプスは望めず、別山方面もおぼろげになってしまった。だがわずかに大白川ダム湖の白水湖を指呼することができた。 10:50





 弥陀ヶ原の一角にたどり着き始めて姿を見せた白山の最高峰・御前峰(ごぜんがみね)。 11:25





 室堂近くからの御前峰。 11:45




南竜歩道、展望歩道の花たち

サラシナショウマ晒菜升麻)−キンポウゲ科
 晒し菜と名付けられるくらいだから食用になるのだろう。升麻は漢方薬である。


 

ハクサンフウロ(白山風露)−フウロソウ科
 ハクサンを冠する植物は18種類ある。アザミ、イチゲ、イチゴツナギ、オオバコ、オミナエシカニコウモリ、カメバヒキオコシ、コザクラ、サイコ、シャクナゲ、シャジン、スゲ、タイゲキ、チドリ、トリカブト、ハタザオ、フウロ、ボウフウの18種である。地名を冠する植物で一番多いのはエゾ(蝦夷)で他を圧するが、その次はこのハクサン(白山)として間違いないだろう。これは白山登山の歴史が古く、この山で学術的に初めて認められ名付けられたのであって、白山の固有種ということではない。




チングルマ(稚児車)の綿毛−バラ科




ミヤマリンドウ(深山竜胆)−リンドウ科




ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)−キンポウゲ科




ヤマハハコ(山母子)−キク科




ヨツバシオガマ四葉塩釜)−ゴマノハグサ科




コバイケイソウ(小梅惠草)−ユリ科
 割り合い花期が早く、8月の後半には茶色く汚れていることが多いのだが、雪田わきでまだきれいなのを見ることができた。




クロユリ(黒百合)−ユリ科
 アルプス展望台のすぐ上で群落を見つけ狂喜してしまった。生のクロユリを見るのは初めてである。もっと深い黒色を想像していたが以外に艶やかで、コーラや黒ビールを光に透かして見た感じだと思う。クロユリを期待して展望歩道に来たわけではないが、これを見られただけで40分の遠回りをした甲斐があったというものだ。




クロユリの果実。
 




 室堂平に着いてしばしの休憩後、建物の周りを一巡りするが2人の姿が見当たらない。迎えに行っていっちょう驚かせてやろうと空身で五葉坂を下って行った。






 五葉坂の中腹から弥陀ヶ原を俯瞰する。左の木道がエコーライン、中央が2人が登って来る黒ボコ岩からの道、右の残雪が水屋尻雪渓である。 12:10





 五葉坂が終わりかけた辺りで設楽君と出会う。ペースが上がらずゆっくりした足取りだ。下田君は先に登っているはずだという。どこかでアイヒョしたようだ。





 室堂平へ戻ると下田君に出迎えられた。中田が到着したとき室堂センターの中にいたらしい。
 広場のテーブルで湯を沸かして昼食をとった。ここは標高2450メートルだが今は快晴、日差しが強く射すほどに暑い。
 天気予報によると晴天は今日だけ、明日は曇り空との予報。やれるだけのことを今日のうちにやってしまおうと衆議一決し、最小限の荷物を背負い三山めぐり・池めぐりに向かう。







 室堂平の白山奥宮祈祷殿。鳥居をくぐりまずは御前峰を目指す。 13:05





 イワギキョウ(岩桔梗)−キキョウ科





 山頂直下に建つ白山比竎(しらやまひめ)神社奥宮。 13:40




 御前峰から北側、白山の様相は一変する。かつての荒々しい火山の跡がむき出しになるのだ。





 3人そろって山頂で。左の山は大汝峰(2684m)。 14:00





 御前峰から北を見る。大汝峰と剣ヶ峰。池は紺屋ヶ池。 14:00





 御前峰西端を巻いて紺屋ヶ池へ下る。中腹から再び北側を見る。同じく大汝峰と剣ヶ峰、右端には御前峰も。左下の池は油ヶ池。 14:20







 紺屋ヶ池の畔から単独で剣ヶ峰へ往復した。正規の道はないが踏み跡はしっかりついている。御前峰から尾根通しのルートもあるそうだが、単独ではちょっと気が引けるので無難な往復コースを選んだ。
 ガラガラの堆積した石を落さないよう注意を払いながら急勾配を行く。ポッツリ雨が落ちてきてあせったが15分で剣ヶ峰踏破。 




 剣ヶ峰山頂から。左が御前峰、中央に油ヶ池と紺屋ヶ池。累々と積もった石の向こうには霧に隠れてしまった大汝峰。右端に剣ヶ峰の標柱が建っている。 14:45





 下りは10分で紺屋ヶ池へ下り立てた。






 お池めぐりの中で一番大きい翠(みどり)ヶ池。東面の山が雲間から覗いた。



 翠ヶ池と剣ヶ峰。 15:10





 もう展望は望めそうもないので大汝峰への登頂はあきらめよう。





血の池から

 剣ヶ峰(左奥)と山頂は見えていないが御前峰(中央)。




 剣ヶ峰。 15:20






 白山市日本海へと注ぐ手取川の源頭、千蛇ヶ池。
 雪解け水をひと口飲んだ。千の蛇が封じ込まれているとの伝説とは裏腹な、手が千切れるほどに冷たい透明で清らかな味がした。
 この池の雪は融けきらないという。





 水屋尻沢のクルマユリ(車百合)−ユリ科




 室堂センターのすぐ上にもお花畑があり、木道わきにはハクサンフウロミヤマキンポウゲコバイケイソウ、オンタデなどが群落をつくっていた。
 もう霧が立ち込めていたが咲き残りのクロユリを見つけることもできた。また御前峰で出会った吉見からの単独のおばさま(出身は新潟県能生町)に、そのクロユリを見てもらうことができてちょっと胸を張れる思いだった。






8.20(火) 霧・曇り

起床(4:00) 室堂平(6:25)・・・黒ボコ岩(6:45)・・・馬のたて髪(7:15)・・・(7:40)殿ヶ池避難小屋(8:00)・・・慶松平(9:10)・・・(10:15)別当出合(10:45)〜(10:55)白山温泉・永井旅館[入浴]〜白山IC〜魚津IC〜道の駅 蜃気楼(白エビ丼・白エビ天ラーメン)〜皇国晴酒造(幻の瀧)〜黒部IC〜朝日IC〜親不知・ピアパーク〜糸魚川IC〜上越JCT妙高SA〜松代PA〜横川SA〜上里SA〜本庄(21:00)・夕食(おおぎや)


歩行時間   3時間30分




 昨日、夕方と夜中に何回か雨が降った。今は雨の心配はなさそうだが今日は晴れることはないだろう。となればもう一気に下るだけだ。

 


真砂坂(馬のたて髪)のお花畑。

ハクサンシャジン(白山沙参)−キキョウ科
 これもハクサンを冠する花の代表クラス。




タカネマツムシソウ(高嶺松虫草)−マツムシソウ





 昨日がんばり過ぎた。脚が思うように動かない。トレーニング不足だな。






 下山後は日本秘湯を守る会の白山温泉・永井旅館で汗を流し(600円)、帰りは富山周りで帰ることにした。
 お昼は道の駅 蜃気楼の白エビ料理。吉見のおばさまのお奨めの品である。




 

 白エビ丼、2000円也。ほっぺたが落ちるほど美味い濃厚というものではないが、まったくクセも臭みもない淡白な味わい。夏に富山湾でした獲れない、この土地この季節限定の味覚である。生きているときは透明らしい。





 食後は隣りの黒部市にある蔵元・皇国晴(みくにばれ)酒造へ。皇国晴などという社名より銘柄「幻の瀧」といったほうがわかりやすいだろう。幻の瀧とは黒部川の源流にある剱沢大滝のこと。存在は知られていても容易に見ることができないのでまさに幻の瀧である。その源流域の水がここ黒部市の海辺で湧き出しているといわれていて、日本名水100選にも選ばれている。この蔵元では硬軟2種類の仕込み水をこの名水から得ているのだ。
 豪壮な酒蔵に比べあまり売る気がないのか、狭い店舗はまったく飾り気がない。冷蔵庫を覗くと3本ほど1升瓶が入っているがその内の1本は売約済ときた。その売約済、しぼりたて生酒のしかも純米大吟醸である。この冬の売れ残りらしい。冷蔵庫には2本あるだけなのでもっとあるのか尋ねてみると、困った顔をしながらも奥に聞いてみるとの返事。自家消費するつもりなのか売るのがもったいないらしい雰囲気すらある。それでも遠方からの来客と知り何本でもどうぞということになった。
まだ飲んでいないが期待に胸は躍るばかり、いやはや楽しみである。
それにもう一つ。「幻の瀧」という名称からしてもっと山沿いを想像していたがまったく正反対、海岸に位置しているのである。店の前から海が見えるわけではないが、歩いて1分で防波堤、数分で灯台に着いてしまうほど海が近いのだ。





 親不知では昔の道を見たいと思って訪ねたが、何世代もの道が重なり合っていてわけがわからない。国道8号沿いの最突端部と思われる場所にホテルが建っていてその前に公園がある。そこに駐車して海の方向へ歩いて行ったが水平に歩道があるだけで下へ降りる方法は見つからなかった。今はもう海岸沿いに道はないのかもしれない。





 だが、100メートルほど下にコンクリートの海岸が見えるからあそこへは行けるはずだ。
 さっきネットで調べてわかった。ホテル前の公園わきに海岸へ下れる道が付けられていて最突端部では唯一往時を偲べる場所があるらしいのだ。



 最後に親不知ピアパークの浜辺でヒスイ探しをした。今回わかったことだが下田君はヒスイマニアだったのだ。
 ヒスイなどとても見つかるはずもないが、どの石も程よく削られていて触り心地がよい。色もすべからくきれいだ。記念に5,6個をポケットに入れて持ちかってきたものの、いまだ飾られることなく駐車場の隅に置かれたままである。